自分の子どもが義母になつくことは母親としてショック。
そして恐怖でもあり自己嫌悪でもある。義母はとてもいい人……でも、だから娘が義母になつくことの恐怖は、私が抱く義母への怖さと引け目でもあったのだ。娘は私より義母になつくのではないか？
そのことに修羅を燃やす私が、義母の目の前で私が狂わないだろうか？その結果、精神症状を露骨に出現させた私に驚いて、義母は私との離婚を旦那に言い聞かせはしないだろうか？
そういう心配があったのだ。
見かけでは、義母は私が心の病気を持ちながら子育てしていることを励ましてくれているいい人だ。でも、精神疾患の問題の深さについて義母はそもそも理解していない。
未体験だから問題の深いところで共感なんてできないし、理解にも限界がある。なんだか大変そうだけれど頑張って…と言うほかにないのが義母の本音だろう。
私が幼少期に受けた実母からの心の傷についても、こういうことは体験がなければ共感するにも限度がある。
心の病気とはそういうものだ。
他人が、未体験者が理解するには限界があるのだ。
すると、義母だから孫の幸せとか安全を第一に考えるのが最も合理的なこと。
だから、子育てにあまりに支障をきたすような母親であれば離婚して孫を引き取り、孫の人生を私のような人生にしないようにと考えることは普通の話。しかも、孫がとてもなついているとするなら、祖母としての意見にも強みが増すに違いない。じゃあ、残された私はどうなる？
母親は私なんだ、精神疾患で引きこもりのダメママだけど、それでもこの子を産んだのは私なんだ。義母はこの子の親じゃない。
心の病気を持って子育てしている母親は、母親とは言えないのか？
母親失格？だから離婚して、病気ではない大人に育てられることが子どもの幸せなの？
そういう考えが頭につまってどうしようもない時がある。
こうなると、私は義母のことをいい人だと思っていた気持ちがライバルとか敵意とか、そういうよろしくない感情が生まれてしまって、ますます母親の自信を喪失するのだった。
なにか困ったことがあれば頼れる人の存在は心強い。
もし、私が入院したりすると娘の面倒をみてくれる安心感はかけがえのないもの。でも、入院中に義母は孫の幸せと私の人生を切り離して計算するだろう。
娘は義母になついているという事実が、その計算に輪を掛ける。
私はいつもうかがっている。義母になつく娘の表情を。
自信がないんだろう。娘を児童相談所に預けなければならないような母親。
義母の優しさに不信感を抱く時がある。それが、心の病気をもちながら子育てしている私の薄暗い本音だ。